2019-01-18
夢千夜 「タガメ」 (03-0001-001)
私は友人に誘われタガメを取りに川べりへいった。私を含めて三人いた。
陽光のもと、ゆったりとした時間が流れている。
川は水量も多く、所々、底に沈められたコンクリートブロックが見えた。
水は鈍色に濁り、タガメがいると思えなかったが、私はとにかく虫網を持って、くるぶしまで足を沈めて、恐る恐る歩き回った。しかし、友人は、水底を歩いているとは思えない動きで、すべるように川面を移動し、巧みにタガメをとっていた。
タガメの存在を確認した私は、勇気を出して、てんてんと続くコンクリートブロックを、水中で飛び上がるようにして移動して、いつしか腹の辺りまで水に浸かっていた。
と、手に虫が触れた。まさしくタガメだった。